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  • 執筆者の写真Shu Shimada

人を撮影する意味

更新日:2020年1月31日

 2017年8月家族とドイツへ旅行に出かけた。関空からFinairに乗りヘルシンキへ、そこでトランジットしてミュンヘンへ。エアバスA350は最新機種、騒音は静かで機内の空気も心なしかクリーンな感じがして快適だった。

 翌日、レンタカーを借りほぼ予定無し(帰国の日は決まっていたが)の気ままなロードトリップへ出発した。とりあえずケルン大聖堂を目指すとして、途中シュツットガルトでメルセデスベンツ博物館へ立ち寄りベンツの素晴らしさに感動し、日がくれるころ目的地へ到着した。翌日訪れる予定のライカAG本社のことを考えると、ベッドに入っても遠足前の子供のようになかなか寝付けない夜だった。

 旅の話はさておき、ブログの題名の『人を撮影する意味』。私は、振り返れば物心がついて初めてカメラを手にした頃から人を撮影するのが好きだったと思う。家族や友達との記念撮影、大好きだった彼女のポートレート(まあ、ポートレイトと呼べるようなものではなかったが)、フォトグラファーとしての意識を持って活動するようになってからは以前にも増して人を撮影するようになった。

 だが、ここ1、2年ほど”なぜ人を撮影するのか?”という根本的なところの答えが自分の中でわからなくてなって行っていた。答えがわからなければ、撮る理由も撮るモチベーションも無くなってしまう。答えの見つからない日々は、自分にとって暗くて長い長いトンネルのようだった。

 何度も自分が撮影してきた人達の写真を見返す日々。もちろんその間、時間があれば友人を撮影しに出かけて戻っては現像する。なのに答えがわからない。ようやくトンネルの出口が見えたのは、今年の5月に読んだ忘れられない2冊の本を読み終える頃、同時に1枚の写真を何度も観返している時だった。それはドイツ旅行最終日、家族がまだホテルのベッドで眠っている早朝に私一人ミュンヘン駅でスナップを撮っているときに出会った老紳士の写真。

OLD MAN I met at Munich Station 2017

私はあのミュンヘンでの朝から1年10ヶ月ほどの時を経て、この老紳士に『君は君が興味を持って、その人物についてどうしても伝えたい事があるという人を撮影し続けなさい。』と言われたように感じたのでした。そして、それが全ての答えの第一条件だという事。恐らくそれを今伝えるために、以前出会っていたに違いないと確信してます。

 皆さん、人を撮影するということに関して色々な意見や目的があると思いますが、私にとってはそういったことが人を撮影する意味でした。


Camera:Leica M2 Lens:Leitz Summicron 50mm 1970 Film:Ilford HP5+


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